フランダースの犬の舞台を巡る!ネロとパトラッシュの像への行き方も解説
世界名作劇場の1つとして、根強い人気を誇るアニメ作品「フランダースの犬」。
もともとの原作はイギリス人作家ウィーダの小説ですが、日本のアニメーションとして1975年にリメイクされました。
少年ネロと愛犬パトラッシュの感動の物語を見て、涙した方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、実際に「フランダースの犬」の舞台であるベルギーのアントワープとホーボーケンに訪れてみたので、街の様子やアクセス方法などをご紹介していきます!
【はじめに】「フランダースの犬」のストーリーをおさらい
アントワープやホーボーケンの紹介をする前に、ここで簡単に「フランダースの犬」のストーリーをおさらいしておきます。
ある村にネロという心の優しい少年がいた。彼は両親を幼くして亡くし、祖父と二人暮らしで、ガールフレンドのアロアとは大の仲良しだった。ある日のこと、ネロは乱暴な飼い主に休ませずこき使われている老犬のパトラッシュと出会った。弱った彼を助けたネロはパトラッシュを飼うことにした。
パトラッシュと出会ってからはネロは、彼やアロア、友達と楽しく過ごしていた。しかし、それもつかの間だった。ある晩、風車が火事になってしまった。村の人々はネロが犯人ではないかと疑い始める。それ以来、村人たちはネロに冷たくあたるようになってしまった。
火事としての疑い、仕事を断念、祖父の死亡、そして念願の夢だった絵画オーディションの落選、絶望の連続に暮れたネロは家にパトラッシュと全財産を残して去ってしまう。
クリスマスの夜、風車職人の老人からネロは無実だという話を聞かされた人々はネロに謝罪するために、ネロの家に向かい、さらに絵画コンクールの審査員がネロを引き取りに来たが、ネロは既に姿を消した後だった。村人たちは何とかネロを必死に探すが、すべてが手遅れだった。
パトラッシュは大聖堂でルーベンスの絵を見ながら行き倒れになっているネロを見つけた。ネロはパトラッシュに「パトラッシュ、疲れたろう。僕も疲れたんだ。なんだか、とても眠いんだ。」と言う。そして、ネロは両親や祖父のいる天国へと旅立った。もう辛いこともなく、いつまでも末永く平和に暮らすのだった。
出典:Wikipedia
この悲しく美しいお話で登場する主人公がネロとパトラッシュです。
彼らが住む村が、今回ご紹介するベルギーの「ホーボーケン」と言う街とされています。彼らは毎日、このホーボーケンからアントワープまで牛乳を運び、細々と生計を立てていました。
そして、ネロとパトラッシュが最後亡くなるシーンの場所が、アントワープ聖母大聖堂。
画家を夢見ていたネロは最後、大聖堂にあるルーベンスの描いた「キリストの降架」を見て天国に旅立ちます。
実際のところ、ベルギーでは「パトラッシュの犬」はそこまで有名な作品ではありませんでした。しかし、多くの日本人観光客がこのアニメの舞台を訪れたことから、現在では聖母大聖堂前や、ホーボーケンの街に「ネロとパトラッシュの像」が設置されるようになりました。
では、次から舞台となったアントワープとホーボーケンをご紹介していきます!
「フランダースの犬」の舞台① アントワープ
欧州一の美しい駅「アントワープ中央駅」
ベルギー最大の都市であるアントワープの玄関口「アントワープ中央駅」は、駅舎そのものが非常に美しいことで知られており、欧州一美しい駅とも言われています。
実際に駅に降り立つと、まるで博物館か美術館とも思えるようなその建物にただ圧倒されます。
特に駅舎入口の中央に設置された大時計が特徴的で、建物そのものが一つの作品と呼べるにふさわしい駅となっています。
アントワープへのアクセス方法
アントワープを訪れる場合、ブリュッセルから鉄道でのアクセスが最も便利となっています。
ブリュッセル(北駅・中央駅・南駅)からアントワープ中央駅(Antwerpen-Centraal)までは直通の快速列車が運行しており、乗り換えなしの50分でアクセスが可能です。
なおブリュッセルの北駅・中央駅・南駅のどこから乗っても料金は同一となっています。
こちらのサイトから時刻表・料金を検索できます。
アントワープ中央駅からアントワープ聖母大聖堂へ
アントワープ中央駅の出口を出て、目的地の「アントワープ聖母大聖堂」を目指して歩いていきます。
アントワープ中央駅から聖母大聖堂までは、歩いて約20分の距離となっています。
ベルギー国内最大の都市というだけあって、駅周辺は賑やかでとても活気があります。
歩いていると鷲のオブジェがありました。
街にある何気ない建物でも、石造りでできていてとても美しいです。
歩いているとだんだん遠くの方にある「アントワープ聖母大聖堂」の特徴的な尖塔が見えてきます。
ルーベンス像
ネロが憧れていた画家であり、フランダースの犬の作品内で登場する「キリストの降架」を描いたルーベンス。
アントワープ聖母大聖堂に行く途中のフルン広場に、ルーベンスの像が立っています。フランダースの犬の舞台を巡る上では、必ず立ち寄りたい場所ですね!
また、アントワープ市内にはルーベンスが実際に住んでいた邸宅もあり、現在では「ルーベンスの家」という名前の市立博物館になっています。
名称:Statue Pieter Paul Rubens
住所:Groenplaats, 2000 Antwerpen, Belgium
アントワープ聖母大聖堂
「アントワープ聖母大聖堂」は1521年に完成した、ローマ・カトリック教会の大聖堂です。
高さ123mある尖塔が特徴的であり、まさにアントワープの「顔」と言える教会です。
また、その美しさから教会の鐘楼部分は「フランドル地方とワロン地方の鐘楼群」としてユネスコ世界遺産にも登録されています。
この聖母大聖堂には、作中でも登場した「キリストの降架」を含む、ルーベンスの貴重な4作品が展示されています。
「フランダースの犬」の作中では、この絵画の前には分厚いカーテンがあり、見るためには銀貨を支払わなければならず、悲しくもお金がないネロは見ることができませんでした。
現在ではもちろん全ての方に公開されているので、ご安心ください。
こちらの作品が「キリストの降架」。ネロとパトラッシュは最後この作品を見て、天国へ旅立ちます。
この作品の前に立つと、ネロとパトラッシュの最後のシーンを思い出さずにはいられません。
そしてこちらが「キリストの昇架」。間近で見るとその迫力が伝わってくる作品です。
聖母大聖堂と言えばルーベンスの作品に注目が行きがちですが、教会内部の装飾もとても美しいことで有名です。
特にそのステンドグラスの美しさは折り紙付き。ずっと眺めていたくなるほどの美しさです。
名称:Onze-Lieve-Vrouwekathedraal Antwerpen
住所:Groenplaats 21, 2000 Antwerpen, Belgium
HP:http://www.dekathedraal.be/
アントワープ聖母大聖堂前広場
アントワープ聖母大聖堂前にある広場は、地元の方を中心に多くの人で賑わう、憩いの場所となっています。
注目なのが「ネロとパトラッシュの記念碑」。日本とアントワープの友好を記念してトヨタから寄贈されました。
※写真の記念碑は現在撤去され、中国資本から送られた新しいオブジェに変わっています。
大聖堂前に犬の散歩をしているおじさんがいました。
「フランダースの犬」の舞台を巡っていることもあり、大きな犬を見つけるとつい反応してしまいました(笑)。
アントワープ市庁舎
大聖堂から少し歩いた場所に、アントワープのもう一つの見所である「アントワープ市庁舎」があります。
このアントワープ市庁舎は、ネロが最後の望みをかけて応募した「絵のコンクール」の結果が発表された場所です。ネロにとっては残念な結果で終わってしまったコンクールですが、聖地巡礼としては、ぜひ訪れたい場所です。
また、この市庁舎の鐘楼部分も聖母大聖堂と同様「フランドル地方とワロン地方の鐘楼群」としてユネスコ世界遺産にも登録されています。
またもう一つの見所が、市庁舎前にある「ブラボーの噴水」。
昔、この地域にいた悪戯をする巨人アンティゴンの腕を切り落として、投げる瞬間の銅像です。切り取った腕から噴水が出ており、吹き出る血を表しているとのこと。
アントワープ(Antwerpen)の語源も、この手=ant、投げる=werpenからきているとされています。
名称:Stadhuis van Antwerpen
住所:Grote Markt 1, 2000 Antwerpen, Belgium
HP:https://www.antwerpen.be/
「フランダースの犬」の舞台② ホーボーケン
ホーボーケンへのアクセス方法
「フランダースの犬」の作品中でネロたちが住んでいたとされるホーボーケンまでは、ルーベンス像があるフルン広場前から乗ることができるトラムにて、約20分でアクセスできます。
フルン広場前の「Antwerpen Groenplaats」にてトラム4番に乗車後、そのまま終点の「Hoboken Steynstraat」まで乗って大丈夫です。
ホーボーケン街歩き
終点の「Hoboken Steynstraat」に到着後、ホーボーケンにまで訪れた目的である「ネロとパトラッシュの像」を目指してに歩きます。
ホーボーケンの印象としては「何もない」です(笑)。
探せば見所などもあったのかもしれませんが、「ネロとパトラッシュの像」を見ることが目的だったので、特に散策はしませんでした。
表現として合っているのか分かりませんが、レゴブロックで作られたかのような、すごく整理されている街の印象を持ちました。
ネロとパトラッシュの像
トラム乗り場からしばらく歩くと、ネロとパトラッシュの像を見つけることができます。
この銅像を見るために、はるばるベルギーまで来た僕の第一印象は「思ったより小さいな…」でした(笑)。
ただ、しばらく観察していると、このなんとも言えない哀愁のあるネロの表情が癖になってきます。また、その横に寄り添い続けるパトラッシュもいい感じ!
1986年に町おこしの一環として設置されたネロとパトラッシュの像。
賛否両論あると思いますが、個人的には「フランダースの犬」のファンであれば、訪れてみてもいいのではないかと思います
名称:Beeld Nello & Patrasche
住所:Kapelstraat 7, 2660 Antwerpen, Belgium
おわりに
今回は、「フランダースの犬」の舞台となったアントワープとホーボーケンをご紹介しました。
特にアントワープは、フランダースの犬の聖地以外にもたくさんの観光スポットがある美しい街です。
ブリュッセルから電車で1時間とかからずアクセスでき、日帰り旅行も可能なので、ベルギーに来た際はぜひ訪れてみてはいかがでしょうか?